年金と役員報酬| 年金相談の現場から-2025年11月|社会保険労務士法人 オフィスサポート


年金相談の現場から

年金と役員報酬



Q
 68歳の経営者です。自分の役員報酬は月20万円としていましたが、決算で利益が出たため、税理士から報酬を上げたほうがよいとアドバイスを受けました。現在の年金額は基礎年金と厚生年金あわせて180万円程(ひと月あたり約15万円)です。税理士からは月40~50万円程度の報酬にするよう言われていますが、そうすると年金はもらえなくなってしまうのでしょうか?



  A

【在職老齢年金制度とは】


 老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険に加入して働く場合、報酬と年金の合計額に応じて、年金の一部または全額が支給停止されます。
 基本月額【=加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額】と総報酬月額相当額【=(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12】を足して51万円を超える場合、一部あるいは全部の年金が支給停止となります。  


【基本月額の計算方法】


 ご質問いただいた方は、「老齢厚生年金・老齢基礎年金あわせて約180万円の年金」を受け取っているとのことです。在職老齢年金の計算に関係するのは、老齢厚生年金部分のみですので、老齢基礎年金部分は除いて計算する必要があります。まず老齢厚生年金と老齢基礎年金の内訳を、年金額通知書を見たり年金事務所に聞いたりするなどして確認する必要があります。
 ここでは、老齢基礎年金は満額であると仮定します。今年の老齢基礎年金の満額は約83万円(ひと月約7万円)。その場合の老齢厚生年金額は、97万円(180万円-83万円)となり、これを12か月で割ると、約8万円(=基本月額)となります。


【月収の試算】


①役員報酬を40万円とした場合
 基本月額8万円+総報酬月額相当額40万円=48万円>51万円
 →年金は支給停止されません。
 →月収約「55万円」(基礎年金約7万円+厚生年金約8万円+報酬40万円)
②役員報酬を50万円とした場合
 基本月額8万円+総報酬月額相当額50万円=58万円>51万円
 →年金は月3.5万円支給停止(58万円―51万円÷2)
 →月収約「61.5万円」(基礎年金約7万円+厚生年金約8万円-年金支給停止3.5万円+報酬50万円)
③役員報酬を60万円とした場合
 基本月額8万円+総報酬月額相当額60万円=68万円>51万円
 →年金は全額支給停止(68万円―51万円÷2=8.5万円)
 →月収約「67万円」(基礎年金約7万円+厚生年金0円+報酬60万円)


【役員報酬はいくらにするか】


 上記の試算によれば、役員報酬は40万円~43万円程度に設定すると、年金も減らされることなく、ある程度の収入は維持できるといえます。役員報酬は変更できるタイミングが限られています。会社の財務状況と自身の収入を天秤にかけつつ検討してください。

 

※上記は、2025年11月時点の回答です。

【個別の状況をご相談ください】
年金制度は複雑ですから、個別の状況をお聞きして、親身に相談にのり、請求実務を承ります。老齢年金、障害年金、遺族年金等、実績は多数あります。

【報酬】
・相談・書類作成料3万円(消費税別)。
・実際に支給決定された場合、上記に加えて、年金額(年額)の2ヶ月分(消費税別)を頂戴します。
・残念ながら不支給となった場合には、3万円以外のお金はいただきません。

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